このシステムは高齢社会を迎える地域保健医療に対して、行政および医療機関はいかなる支援が必要であるかという意識に端を発した施策であり、パーソナル・ヘルス・データ(PHD)の集約を重点に、地域内約32万5千人の健康づくりをホストコンピュータやICカード、医療機関などに設置された端末などを使って支援していこうとするものです。
本システムは加古川地域の住民およびこの地域の医療機関を利用する人の検査・健診データや、各医療機関(病院、診療所など)で発生する独自の医療情報、保健所・市町および保健センターで把握した個人の様々な健康に関するデータを情報センターのホストコンピュータで集約し、それらを保健・医療・福祉サービスの供給主体の連携の下、各関係機関が地域住民の立場に立った適切なサービスを供給し支援できるようになっています。言い換えれば、健康増進、疾病予防から治療、リハビリテーション、さらには福祉サービスに至るまで、幅広く生活に密着したサービスを効率よく提供できることを目指した「地域保健医療福祉型情報システム」であると言えます。
本システムの目的は、地域住民が「いつでも、どこでも、だれでも」等しくかつ最適の医療を受けられるような土壌を育むこと、すなわちプライマリ・ケア(一次医療)の充実であり、住民(患者)が安心して保健医療サービスを享受できる仕組みを将来に向けて、形成していくことであると考えています。
システムの全体像は、地域住民のより一層の健康増進につながり、健康を支える「保健」「医療」「福祉・教育」「スポーツ・アクティブライフ」の4つの分野を対象にしておりますが、パーソナル・ヘルス・データを中心に平成6年10月より本格供用を開始しており、現在も「保健」「医療」「福祉」分野のさらなる有機的融合を目指し、それぞれのシステムの拡充を重ねております。
本システムは当地域のおかれている状況・問題点を的確に把握し、地域住民、医療機関、行政など各関係機関がそれぞれのニーズをさぐりながら、地域にあったシステムを造ること基本とし、システム化にあっては、ユーザである医師や医療スタッフの様々な業務を支援し、十分活用できるものであることと同時に、エンドユーザである住民(患者)の健康づくりに寄与できることを最大の目標としています。
本システムの根幹思想は、保健・医療・福祉の三位一体の連携、特に病診連携を中心とした「連携」と、「インフォームド・コンセント」の意味の一部である「納得」であり、キーワードとして「ひと(住民)にやさしく、親切で、そして丁寧なシステム」であるべきとしています。
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